知財コラム

渋沢栄一『論語と算盤』が教える人生繁栄の道

渋沢栄一『論語(道徳)と算盤(経済)』が教える人生繁栄の道(著者:渡部昇一)

 先月、東京への出張の際、八重洲ブックセンターで買った本からエキスを抜粋し、お伝えしたくて、コラムに書くことにしました。
 
 今の米国や中国がそうであるように、経済拡大、利益優先にのみに関心がむいて、道徳や倫理が忘れられているような気がします。
 
 渋沢栄一は、企業の創設・育成に力を注ぎ、500社以上の事業設立にかかわりました。倫理と経済(利益)の両立を掲げ「道徳経済合致説」を主張し、その一環として約600の教育機関・社会公共事業の支援及び民間外交に尽力した人です。
 
 渋沢は、明治の混乱期、日本が近代国家として成長するには、商工業の振興による富国を目指すべきだと、勤めていた大蔵省をやめることを決意をしました。官尊民卑の時代、大蔵省を辞めようとする渋沢を止めようとする同僚に対して「金銭を扱う仕事がどうして、賤しいのか、君のように金銭を卑しむようでは国家は成り立たない。人間の勤めるべき尊い仕事は到るところにある。官だけが尊いのではないぞ」との言葉を残しています。(彼は、後に大蔵大臣への就任依頼も断っている。)
 
 明治27年「雨夜譚(あまよがたり)」の筆記録ではこのような事を書いています。「おのれ別に人にすぐれし才芸あるにあらねど、・・・(和歌)譲り置く・この真心の一つをば・亡(な)からむ後(のち)の・形見とも見よ」、渋沢が子孫に残して置きたいものは、一つの真心、それは、「心に恥じ身に疾(やま)しき事とては秋豪(しゅうごう)の末もあらず」という倫理道徳観でした。

 明治維新後の近代産業のすべての育成に関与した渋沢が、大財閥をつくることは簡単でした。彼が息子に「私が一身一家の富むことばかりを考えていたら、三井や岩崎(三菱)にも負けなかったろうよ。これは負け惜しみではないぞ」と言っています。彼は、自分の儲けになることを、国家・社会のために他人にどんどん分け与えたのでした。彼に対する当時の国家の評価もさすがに格別で、三井、岩崎の男爵よりも高い子爵を与えました。

 道理のあるものは必ず生産と一致し、仁義道徳と生産利殖は決して矛盾しない。ただし、富をなす手段としては、第一に公益を旨として、人に害を与えたり、人を欺いたり、偽ったりしてはいけない。そういう前提のもと、それぞれが各人の職に尽力して富を増やしていくのであれば、いくら発展しても何も問題ない。しかし、モラルなき金儲けは必ず失敗すると警告しています。

 サブプライム問題の余波で百年に一度ともいわれる大不況のなか、我々は、渋沢栄一の哲学を理解し、それを実践することが問われているのではないでしょうか。
 
 最後に、以下の言葉が、印象に残りました。

1.「人の人生は、重荷を負うて遠き道を行くがごとし」
2.「己を責めて、人を責むるな」
3.「己れ立たんと欲して人を立て、己れ達せんと欲して人を達す」
4.「志を果たして親を喜ばせることが最高の親孝行である」
 
 興味のある方は、書店で、渋沢栄一『論語と算盤』が教える人生繁栄の道(著者:渡部昇一)を購入しぜひ、読んでみていただければ幸いです。

                

                  株式会社沖縄ヒューマンキャピタル
                  代表取締役 金城和光

 

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