知財コラム

類似群コードの利用の仕方

前回、商品・役務の類否を判断するのに、類似群コードが有用であることをお話した。
おさらいをすると、類似群コードとは、特許庁の審査上、互いに類似するものと考えられる商品・役務をまとめ、その商品群・役務群ごとに付与したものをいう。
前々回のコラム(2008年05月19日「商標権とは」)で既にお話したことだが、商標権の効力が及ぶ範囲は、商標が同一・類似の範囲であることは当然のことながら、「指定商品・指定役務と同一・類似の商品・役務の範囲」が前提となる。
つまり、商標が同一・類似であっても、商品・役務が同一・類似でなければ、商標権の効力は及ばない。
そうすると、商標権の効力範囲(類否)を考える場合、商品・役務の類否を最初に検討しなければならない。
商標の同一か類似かの判断は、厳格には、ちゃんとした判断基準があり、それに則って特許庁なり裁判所なりは判断するのであるが、専門知識をもっていない一般の方でも、何となく類似しているかどうかは分かると思う。
しかし、商品・役務の類否は、どうだろうか。
もちろん、商品・役務の類否判断も、ちゃんとした判断基準があり、それに則って特許庁なり裁判所なりは判断している。
だが、専門知識をもっていない一般の方には、この判断は難しいと思う。
もちろん、同一の範囲は分かるであろうが、類似の範囲となると、それこそ商品や役務というのは多岐に亘り数も膨大であるから、判断は困難を極める。
そこで登場するのが、類似群コードである。
類似群コードは、互いに類似するものと考えられる商品(役務)をまとめ、その商品群(役務群)ごとに付与されたものであるから、同一の類似群コードが付与された商品(役務)は、同一か類似かの関係にあることを意味する。
もちろん、類似群コードは、あくまでも特許庁の審査において画一的に処理する都合上、用意されたものであるから、同一・類似の関係にあることを推定するだけで、必ずこれに従うものではないが、審査上は、ほぼ類似群コードの通りに判断されると考えてよい。
そうすると、この類似群コードを利用するだけで、商品(役務)の類否判断ができてしまうのである。
この類否判断ができるということは、次のメリットがあることを意味する。
それは、「調査」である。
商標出願をする際には、同一・類似の商標が既に登録されていないか、出願されていないかを確認するため、事前に調査をすることが望ましいが、この調査は、商標の類否だけでなく、商品(役務)の類否も考慮しなければ、正確な結果は出てこない。
商標権の効力範囲は、「商品・役務が同一・類似」である「同一・類似の商標」であるから、審査においても、この範囲で、他者の登録を排除することができる。
これができないとすれば、重複する範囲で権利が複数登録されてしまい、あとで権利関係の調整が難しくなってしまうからである。
厳密には、審査において他者の登録を排除する範囲と、独占排他権たる権利の範囲とは一致しないのであるが、とりあえずは、「商品・役務の同一・類似」と「商標の同一・類似」を検討すれば十分である。
実際の調査での類似群コードの利用方法であるが、例えば、特許電子図書館の「3 商標出願・登録情報(http://www1.ipdl.inpit.go.jp/syutsugan/TM_AREA_A.cgi?0&1199961651261)」の検索ページには、「類似群コード」を選択する項目があり、ここに類似群コードを入力する。
そして、「商標(検索用)」の項目に、調査したい商標を入力して調査する。
これだけで、「商品・役務が同一・類似」の「同一・類似の商標」の有無を、調べることができてしまうのである。
もちろん、これだけで調査が足りるわけではないので、最終的には専門家に確認してもらいたいが、この類似群コードを活用するだけでも、調査結果はだいぶ違ったものになる。
これが、前々回のコラムで「商標権が、登録商標と同一・類似の商標であれば、何でもかんでも独占的使用が認められているわけではない」といった理由である(但し、著名商標については、非類似商品(非類似役務)に対しても、他者の登録を排除し、権利の効力が及ぶ場合があるので注意されたい)。


弁理士 大久保秀人

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